「売上は伸びているのに、資金がギリギリ」という経験はありませんか?考えられる要因の1つに、売掛金の回収遅延があります。売掛金が回収できなければ、資金不足を招き、借入れが必要になることも。日頃の売掛金管理が大切です。
売掛金の残高をチェック!「変わったこと」はないか考えてみよう
月次巡回監査において、売上高とともに売掛金残高の増加に気づいた鈴木巡回監査士が、山田社長にその背景について尋ねています。

巡回監査士
- 山田社長、売上は好調ですね。素晴らしいです。ただ、ここ数か月のデータを見ていて気になった鈴木巡回監査士のですが、売上が増えたことで、売掛金の残高も増えてきています。売上の伸び以上に売掛金が増加している、入金が遅れている、売掛金が長期間未回収となっている、あるいは何か事務的なミスがあったといった具合に、何か思い当たる得意先はありませんか。

社長
- そうだな……。「20日締め翌々月末払い」のA社の売上が、今年に入って増えているのが原因だと思う。あと、最近資金繰りが厳しそうな得意先もあるな。B社は取引開始以来「月末締め翌月払い」を「翌々月末」に変えてきているし、C社は「月末に支払う」と言いながら、いつも遅れていて売掛金が溜まってきているし・・・・・。

巡回監査士
- 残高は常に確認をお願いします。「勘定科目残高」の「売掛金」をクリックして「金額順」に並び替えれば、売掛金残高の多い順に表示されるので、具体的にデータから見てみましょう。やはりA社の売上が伸びているだけに、昨年と比べても売掛金残高がかなり増加しているね。
御社の材料や外注先への支払いは「月末締め翌月末払い」なので、今後A社との取引が増加すればするほど売掛金残高が増え、資金繰りが圧迫されます。資金の手当ても考えておきましょう。

社長
- あと、D社の残高50万円は4か月前に請求した売掛金のうち回収できていない分か・・・・・・。相手の検収時にいろいろあってあまり強くも請求できないし、50万円くらいだから、うちも厳しいけど最悪回収できなくても仕方ないかも。

巡回監査士
- 社長、売掛金が回収不能となった時のダメージは予想以上に大きいものです。売上原価に販売促進費や人件費などの固定費も加えると、仮に1商品当たりの営業利益率が5%とすれば、50万円の未回収分を取り戻すには、新たに1,000万円の売上が必要です。しかも、その1,000万円を全額回収できての話ですから。
まず営業担当者が出向いて得意先の状況を確認する

社長
- そうか、1,000万円となると確かに大ごとだね。早速、D社に営業担当者を行かせて、遅延の理由を確認させるよ。
売掛金回収は社長が出向いて「膝詰め」で話し合うことも重要に!
営業担当者からの情報を踏まえ、最後は社長が得意先に出向いして、社長の目で現場を確認し、得意先の社長と今後の対応について話し合う必要があるかもしれません。

社長
- わかった。社長同士で、膝詰めで話し合ってみるよ。資金繰りの状況や今後の見通しも含めて本音が聞きたいし。その上で、取引の縮小や支払条件の変更などの対応が必要であれば、きちんと協議して、お互いの信頼関係を再構築しなければいけないね。

巡回監査士
- 支払遅延の理由が不合理である、または支払いの意思が見られないと社長が判断したら、内容証明郵便の送付や簡易裁判所への支払督促の申立てなどの法的な対応も検討しましょう。
売掛金の管理は、単なる経理業務ではありません。自社の健全経営を支える大切な業務であることを全社員で意識していきましょう。
POINT!売掛金・売上高を取引先別で管理してみましょう
1.「売掛金」について、取引先別管理を導入してみましょう。自計化システムで管理すれば、個別台帳や集計表での残高管理が不要です。前月末の売掛金残高が当月に入金できているかを確認しやすくなります。
2.「売上高」の取引先別管理を行うことで、どの取引先が、自社にどれほどの売上をもたらしてくれているのかを自計化システムで確認できるようになります。
3.「売上高」の取引先別管理を導入すれば「得意先順位月報」(右)で取引先別の詳細な分析ができるようになります。