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社長がおさえておきたい「減価償却」のきほん

2025.12.22

会計においては、使用期間が複数年にわたる車や機械、建物などの固定資産は、一般に、減価償却をする必要があります。また、「課税の公平」「事務の簡素化」を図る観点から、法人税や所得税においても細かなルールが定められています。減価償却の基本を解説します。

きほんその1:「減価償却」ってなに?

「減価償却」とは、時間の経過や使用などによって価値が減少していく固定資産(=減価償却資産車両、機械、建物、パソコンなど。下記図表1参照)の購入費用を、一度に経費として計上するのではなく、使用可能期間(耐用年数)に応じて、分割してその年分の経費として計上する会計上のルールの1つです。

会計においては「費用収益対応の原則」が重要です。これは、その資産を使って得た収益と、その資産の使用にかかる費用とを対応させることをいいます。減価償却は、この「費用収益対応の原則」に基づくもので、正しい期間損益を計算するために行われます。

例えば、1,000万円の機械(耐用年数10年)を購入した場合、その全額を購入した期の経費とすると、その期の利益が極端に少なくなってしまいます。その点、減価償却により、耐用年数にわたって毎年100万円ずつ費用とすることで、その企業の実態に即した正確な利益を把握できるようになります。また、減

1年未満、または10万円未満のものは一回だけ(その年だけ)に費用計上1年2年3年4年数年にわたって使用するものは、その期間に分けて費用計上

価償却費は税法で規定された耐用年数に応じた期間にわたって、定額法や定率法に基づいて計上することが一般的で、損金(必要経費)として認められます。

きほんその2:少額な減価償却資産の取り扱い

少額な減価償却資産は、税務上、一時の損金(必要経費)算入が認められています。

●使用可能期間が1年未満、または取得価額が10万円未満のもの

使用可能期間が1年未満のもの、または取得価額が10万円未満のものの場合、「消耗品費」等として、購入したその期に一括で費用計上できます。

●取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産(一括償却資産)

一定の要件の下でその減価償却資産の全部または特定の一部を一括し、その一括した減価償却資産の取得価額の合計額の3分の1に相当する金額をその業務の用に供しまた年以後3年間の各年分において損金(必要経費)に算入することができます。「一括償却資産」としたものについては、「償却資産税」の課税対象にする必要がありません。

中小企業者等の「少額減価償却資産」の特例

中小企業(青色申告法人・個人)の場合、取得価額が30万円未満の減価償却資産を、年間合計300万円まで、全額その期に費用計上することができます。ただし、「償却資産税」の課税対象となるため、市区町村への申告が必要になります。

「取得価額」に消費税の額を含めるかどうかは採用している経理方式によります
●税込経理の場合:消費税を含んだ金額
●税抜経理の場合:消費税を含まない金額免税事業者の経理方式は税込経理

きほんその3:償却資産税の申告もお忘れなく

建物や車両(自動車税対象)、ソフトウェア等を除く事業用の減価償却資産には、償却資産税がかかります。
その年の1月1日時点で所有している償却資産(例:舗装路面、看板、建設機械、応接セット、パソコン、自動販売機など)の評価額に、税率(標準税率は1.4%)を乗じた額が課税されます(原則として、償却資産税の免税点は課税標準額150万円未満とされています。免税点の判定は市区町村ごとの償却資産の合計額によります)。

毎年1月31日までに、その資産の所在する市区町村ごとに「償却資産の申告書」を提出する必要があります(東京23区の場合は各都税事務所)。

注意したいのは、廃棄等をした償却資産がある場合です。「その資産をすでに所有していない」ことを市区町村へ申告しない限り、減価償却費相当額を差し引いた帳簿価額(課税標準額)を基礎として償却資産税が課税されることになりますので、年末の大掃除の時など固定資産台帳と現品とを照合して、その資産が実際に存在しているかどうか、きちんと確認するようにしましょう。使用していない償却資産がある場合は、廃棄等を検討することも必要です。

償却資産を新たに取得したり、廃棄等をしたりした場合には、その事実が確認できる書類(見積書や請求書、リース契約書等)を必ず保存しておくとともに、固定資産台帳の更新も忘れずにしておきましょう。

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