2025.03.10
インボイス制度の開始で売り手・買い手双方に留意すべき点が増えた請求業務。社内外の関係者とのやりとりも多く、人為的ミスが起きやすい業務の1つです。「デジタルインボイス」を中心としてデータ連携させれば、売り手・買い手の双方で「手間いらず」な請求業務が実現します。
パソコンや会計システム等の活用で、中小企業でも経理業務の電子化・効率化は、ある程度進んできました。請求業務においても、「印刷」「封入・投函」といった手作業が必要な紙の請求書から、PDF等の電子データでやりとりすることが増えています。
ところが、そのような請求書のやりとりは、実は受け取り側(買い手側)にとってはそこまで効率化につながっていないのが実情です。
それは、①受け取った請求書の内容を自社のシステムに入力し直す必要がある②紙PDF等、取引先によって混在している発行方法に対応する必要があるといったことが背景にあります。そのため、請求書の受領から支払まで、結局、目視によるチェックや手入力の必要性は残ったままでした。
こうした課題を解消できるのが、「デジタルインボイス」です。デジタルインボイスとは、請求書の発行から受領まで、一切人の手を介さずに、売り手と買い手のシステム間で直接データを連携させて自動処理する仕組みで
す。PDF等の電子データとは異なり、送信者や金額等の情報が100%の精度で解析され、その後の作業が自動処理されるという特徴があります。
業務をより効率化し、時間外労働の抑制や人手不足に対応していく上でも、デジタルインボイスへの対応は必要不可欠といえます。
請求書をはじめとした電子文書の送受信に関する国際標準仕様に、「ペポル(Peppol)」があります。ペポルは30か国以上で採用されており、このペポルのネットワークを通してやりとりするデジタルインボイスを「ペポルインボイス」といいます。ペポルインボイスには次のようなメリットがあります。
①売り手・買い手の双方で、請求書の発行・受領に関わる作業工数が削減できる(書類の印刷やPDF等の入出力が不要に)
②ペポルに対応しているシステムを利用することで、異なるシステムのユーザーと、データを直接やりとりできる
③システム間でのデータ連携が容易なため自動処理が進み、人為的なミスが削減できる
④インボイス制度の記載要件を満たしていないと請求書が発行できないため、記載要件が網羅されているかの確認が不要になる
ペポルインボイスを利用するには、ペポルネットワークに参加するための手続き(ペポルIDの取得等)が必要です。また、TKCシステム(FXクラウドシリーズSXシリーズ等)はペポルに対応しています。