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自社を取り巻くリスクとその対策を考えてみよう

2025.09.22

会社経営にはさまざまなリスクがつきものです。特に、「ヒト(人)」に関わる労働災害などのリスク、「モノ(物)」に関わる資産の故障・盗難などのリスク、そして「カネ(お金)」に関わる取引先の倒産や損害賠償の支払いなどのリスクについては、自社に起こり得るケースとその対策をあらかじめ検討しておくことが重要です。

「ヒト・モノ・カネ」でリスクを分類し、自社のリスクを洗い出そう

経営を安定させるため、まず自社を取り巻くさまざまなリスクを想定し、その対策を考えておくことが大切です。例えば、従業員が作業中に負傷して入院してしまった場合を想定してみましょう。負傷した従業員本人の心身のケアはもちろん、労災保険の申請手続きのサポートや、所轄の労働基準監督署(立川市なら立川労働基準監督署)への報告、さらに欠員による労働力不足を補う対策の検討など、ひとつの事故に対して企業側が取るべき対応策は非常に多岐にわたることが分かります。

このように労働災害に限らず、企業経営には実にさまざまなリスクが存在します。漠然と「何となく不安だ」と感じていても、具体的な対策をまだ講じられていない経営者の方も多いのではないでしょうか。この機会にぜひ、自社のリスク対策について改めて考えてみましょう。その第一歩として取り組みたいのが、自社のリスクの洗い出しです。大まかに「ヒト・モノ・カネ」のカテゴリーに分けてリスクをリストアップすると整理しやすくなります。

以下に、中小企業が直面し得る代表的なリスクを「ヒト・モノ・カネ」別に挙げました。自社ではどのようなリスクが考えられるか、優先順位をつけながらチェックしてみてください。

  • 「ヒト」に関するリスク:
    経営者自身の病気・事故による不在、感染症の流行(パンデミック)による従業員の大量欠勤、従業員の労働災害(仕事中の怪我・事故、過労やメンタル不調など)
  • 「モノ」に関するリスク:
    会社で使用している自動車やPC等の業務機器の故障・破損、自然災害(大雨による水害・地震など)による被害、火災・盗難などによる所有資産の消失
  • 「カネ」に関するリスク:
    主要取引先の倒産や貸倒れによる連鎖的被害、自社の製品やサービスの不具合・個人情報漏えい等に起因する損害賠償の発生、為替レートの変動や輸出入規制強化による事業への影響

特に意識しておきたいのは、経営者自身が病気や事故で不在となるリスクです。立川市の中小企業でも、経営者は文字通り「会社の顔」でありワンマン経営になりがちです。そのため、社長が突然いなくなる事態は事業の存続や成長に深刻な影響を及ぼします。例えば立川市内のある企業では、経営者が入院した際に取引先との連絡や金融機関対応が滞り、事業継続に支障を来したケースもあったといいます(※架空の例です)。このように「ヒト」に関わるリスクは特に注意が必要です。

「モノ」に関するリスクも、立川という地域の特性を踏まえて考えてみましょう。例えば近年の気候変動に伴うゲリラ豪雨や大型台風では、多摩川沿いの地域で洪水被害の危険性が高まっています。実際、立川市には多摩川が流れており、沿岸部は高い水害リスクを抱えています。加えて、東京都の被害想定では今後30年以内にマグニチュード7クラスの首都直下地震が70%の確率で発生するとも言われており、立川市内の企業も地震対策は避けて通れません。こうした自然災害によるリスクに対して、オフィスや店舗の耐震・防災対策や、重要データのバックアップ体制(書類の電子化やクラウド保管など)を整えておく必要があります。

「カネ」に関するリスクとしては、取引先の業績悪化や倒産により売掛金が回収不能になるケース、さらには自社の商品クレームや情報漏洩事故による賠償金支払いなどが挙げられます。立川市内でも、主要取引先が突然経営破綻し中小企業が連鎖倒産の危機に陥るといった事例が実際に起こり得ます。さらに、為替変動や海外情勢の変化による影響にも留意が必要です。例えば、原材料を特定の国から輸入している製造業者や、燃料費の高騰に敏感な運送業者などは、世界的な紛争や貿易摩擦によるリスクも無視できません。事実、立川商工会議所では米国による自動車関税強化の影響を懸念する市内中小企業からの相談に対応する特別窓口を開設したほどで、国際的な政策変更が地域の中小企業にも波及し得ることがわかります。為替相場の急変や輸出入規制の強化によって仕入れコストが跳ね上がったり販売機会を失ったりしないよう、複数の仕入先を確保する・為替予約を活用する等の対策を検討しましょう。

上記のリスクリストや立川地域の状況を参考にしながら、自社では他にどのような危機が起こり得るか、ぜひ経営陣や従業員とも議論してみてください。

会計データはリスク検討のための貴重な情報源

「自社の実態を把握する」といっても難しく感じるかもしれません。しかし実は、日々の記帳と月次決算、そして税理士や会計事務所による月次巡回監査こそが、リスク管理の土台となります。例えば、固定資産台帳を見れば現在どんな資産をどれだけ保有しているか把握できます。それら資産がもし災害や事故で失われたらどんな損害が出るのか、といったシミュレーションを考えるヒントにもなるでしょう。また、決算書(貸借対照表や売掛金の明細など)を確認すれば、長期間回収できていない売掛金がどれくらいあるか=業績が悪化している取引先がどれだけ存在するかが分かります。これは、その取引先の倒産リスクを想定するための重要な手がかりとなります。

このように、会計データは会社のリスクを考える上で貴重な「情報の宝庫」なのです。日々の経理業務を疎かにせず、数字の動きや変化に目を配ることで、リスクの芽にいち早く気付くことができます。もし社内に十分なリソースがない場合は、立川市内で中小企業をサポートしている専門家(税理士・会計士等)に相談し、定期的に帳簿のチェックや財務分析を受けると良いでしょう。

なお、リスク対策の方法として保険の活用も選択肢の一つです。万一に備えて経営者の生命保険に加入したり、火災保険・損害保険で設備や在庫の保障を確保したりすることは、リスクを保険会社に転嫁(=リスクの移転)する有効な手段です。ただし、自社の資産状況や財務体力に見合った保障内容と保険料であることが重要です。立川市内にも保険代理店や金融機関の窓口がありますので、適正な保障を適切なコストで得られるよう、内容をよく精査してから加入しましょう。

近年は海外での紛争やテロの勃発、感染症の世界的流行など、グローバルな視点での不安定要因も経営リスクとして無視できなくなっています。原材料を特定国に依存する製造業者、海外観光客に売上を左右されるサービス業者、燃料費や輸送コストが業績に直結する運輸業者――立川に拠点を置く企業であっても、世界情勢の変化によるリスクにはアンテナを張っておく必要があります。

自社が抱えるリスクについて、一度リストアップ(洗い出し)してみませんか? その上で、リスクごとにどんな対策が考えられるか、ぜひ専門家や信頼できるパートナーと一緒に検討してみてください。私たち会計事務所も、立川市内の中小企業の皆様が安心して事業継続できるよう、リスク管理体制づくりを全力でサポートいたします。リスクに備えた万全の態勢で、地域での事業発展を目指していきましょう。

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