2025.10.20
ここ数年、原材料費やエネルギーコスト、労務費などの経営コストが急激に増加しています。製品やサービスの価格にコスト増分を転嫁したいと考えていても、取引先との関係を気にしてなかなか値上げに踏み切れない――そんな葛藤を抱える中小企業の経営者は、立川周辺の企業でも少なくないのではないでしょうか。取引上の力関係から得意先に提示された条件をそのまま受け入れてしまうケースも多く、一方で賃上げの機運が高まり賃上げ原資を確保しなければならないという、いわば「板挟み」の状況に陥っているのが実情です。
こうした状況を受けて、中小企業を含むすべての事業者が適切に価格転嫁できる取引環境を整備・定着させることを目的に、「下請代金支払遅延等防止法」(いわゆる下請法)が改正されました。改正後の正式名称は「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」で、略称が「中小受託取引適正化法(取適法)」となります。この改正法は2025年5月16日に成立し、2026年1月1日から施行される予定です。
また今回の改正では、価格交渉や代金の支払方法に関する禁止行為の新設、適用対象となる取引内容の追加や対象企業規模の拡大など、幅広い見直しが行われています。主な改正内容は以下の通りです。
今回の従業員基準の追加により、今後は中小企業であっても発注側の「委託事業者」となる可能性が十分にあることに注意が必要です。立川市および周辺地域で事業を営む中小企業の皆様も、この点を他人事とせず備えておきましょう。また、取適法に違反する行為があった場合には50万円以下の罰金等の罰則規定が設けられていることも押さえておく必要があります。
施行日までまだ時間はありますが、今のうちから以下の準備・対応を進めておくことが重要です。
これらの対策を早めに講じることで、立川地域の中小企業も2026年からの新法施行にスムーズに対応できるでしょう。今からしっかりと準備を進め、適正な取引環境づくりに努めていきましょう。