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今期決算に向けた総仕上げ(実践編3)

2025.10.6

社長が「今期にやりたいこと」を数字で表したものが経営計画です。経営計画は、毎月の実績と照らし合わせてこそ真価を発揮するものです。期末まで残り2か月となりました。着地点を見据えて、今期の総仕上げに取り組みましょう。

数字をもとに「効果があったこと・なかったこと」を検証しよう

立川駅近くで居酒屋(11月決算)を営む山田社長は、巡回監査士と一緒に9月までの業績数字を振り返りながら、今期の着地点予測と決算に向けた具体策について話し合っています。


  • 巡回監査士
  • 期末まで残り約2か月となりましたね。社長、いよいよラストスパートです。まず、上期を振り返って検討した改善策の効果と、今期の着地点を一緒に確認してみましょう。では、「業績管理」の画面で「365日変動損益計算書」のバナーをクリックします。そこでは当期・前年同期・当期計画の数字を比較して確認できます。
    そのデータによると、売上高は前年同期比で112%、計画比で107%となっています。上期から仕入価格の高止まりが続いているため、売上原価(仕入高)も計画比で109%と高めに推移しています。しかし、売上増のおかげで限界利益額(粗利益)は予算額を上回っています。社長、本当によく頑張りましたね!特に売上高の伸びが素晴らしいです。たしか上期の振り返りで“1日2万円の売上アップ”という目標を掲げ、その具体策としてカレーランチのテイクアウト販売に取り組みましたよね。この取組は、業績評価マトリックスで言う『独自商品・サービスが健闘』に該当しますね。

  • 山田社長
  • 上期の振り返り後にすぐ行動に移して、30食限定で始めてみました。今年の夏は立川も非常に暑かったので、カレーはお客さんに好評で毎日完売だったんです!仕入れた食材を無駄なく使うよう心掛けた結果、日替わりで具材を変えることができたのも良かったようです。実際、「今日は何カレー?」って毎日のように来てくれるお客さんもいて、嬉しかったなあ。

    ただ、「並盛り500円・大盛り700円」という価格設定は少し失敗だったかもしれない。実は並盛りのほうが多く出てしまって……。うちは普段は男性客が多いから大盛りがたくさん出るだろうと踏んでいたんだけど、ランチタイムには周辺のオフィスやショップで働く女性客が多くて、予想が外れちゃったよ。でも、そのランチで来てくれた人たちが夜の営業にも来てくれるようになってね。そのおかげで不足分はカバーできた感じかな。

  • 巡回監査士
  • ランチの集客が夜の来店につながるというのは、まさに「リピート顧客が増加」という理想的な流れですね。価格設定には見直しの余地があるにせよ、トータルでは素晴らしいチャレンジだったと思います。

社長の日々の努力の証!納税してこそ事業は成長する


  • 巡回監査士
  • 今期は黒字で着地しそうですから、一度納税額を確認してみましょう。当事務所で納税額を試算したところ、消費税は予定納税額を差し引いて約90万円、法人税・住民税は合わせて45万円ほどになりそうです。

  • 山田社長
  • うーん、正直消費税のことは考えてなかったよ。もう少し何とかならないかなぁ。実は先日、厨房機器のサブスクリプションサービスを見つけてね。メンテナンス費用も込みで月額2万円くらいと、リース契約よりも割安かなと思って契約したんだ。このままいけば黒字で着地できそうだし、税金対策にもなるかなと思ってさ。

  • 巡回監査士
  • なるほど。そのサブスク料金は経費として毎月計上できそうですね。ただし、節税も大切ですが、「納税してこそ事業は成長する」という点も忘れないでくださいね。利益を出して税金を納めるということは、資金繰りにも余裕が生まれるということですし、何より社長が日々真面目に努力されている証拠でもあるんですよ。

  • 山田社長
  • そう言ってもらえると、少し誇らしい気持ちになるよ。確かに、税金をきちんと納められる経営を目指さないといけないね。来期は、できれば役員報酬も上げたいし、売上ももっと伸ばしていきたいなあ。テイクアウトのランチが好評だったから、11月からは店内でも提供できるように計画しているんだ。常連のお客さんからも「店内で食べたい」という要望があってね。そこでドリンクとミニサラダをセットにして、並盛りは770円、大盛りは990円にしようかと思っているんだ。巡回監査士に言われて作成した経営計画だけど、そのおかげで具体的な数字が見えて色々取り組みやすいよ。

  • 巡回監査士
  • 本格的にランチ営業も始めるとなれば、水道光熱費や人件費などの経費も増加します。昼夜で分けた採算管理や、シフトの調整も必要になってきますね。

  • 山田社長
  • ランチタイムの人員は、主婦のパートさんか近隣の大学生バイトに頼もうと思っているよ。ちょうど「今年は去年よりたくさんシフトに入れるようになったので、もっとシフトを増やしてほしい」って言ってくれるスタッフもいてね。

  • 巡回監査士
  • それは心強いですね。ただ、12月の繁忙期に支障が出ないように、パートさんも学生バイトさんも、それぞれ収入の上限を確認しながらシフトを組んでいきましょう。さらなる売上アップを目指して、ぜひ来期につなげていきたいですね。まずは今の調子を維持しつつ、期末まで一緒に頑張りましょう!

【POINT】前向きな決算対策とは?

事業を成長させるには、黒字決算を達成して税金をきちんと納め、その上で内部留保を着実に蓄積していくことが欠かせません。一方で、過度な節税策は利益を縮小させて資金繰りを悪化させるなど、かえって経営上のリスクとなりかねません。節税はやりすぎず、適切な範囲で行うことが重要です。